カラカラライフリズム
「………」

「………」


お互いに黙ったまま、
目線も合わせずにいつもの手順で執行所に入った。

そして、中庭を目指す。

中庭は、執行所にぐるりと取り囲まれて要塞のようになっている。

下手な塀よりも効率が良いという意見を得て建築されたこの建物は、
警備体制ばかりが整い、馬鹿みたいに閉塞的になっただけだった。

だから、『中庭』と呼ばれるその場所にも、
別館がいくつも建てられていて、

寮はその中の一つでしか無かった。

中庭に続くドアへ向かう時、ロビーの終わり辺りに差し掛かった時、

樋口が口を開いた。

< 163 / 860 >

この作品をシェア

pagetop