カラカラライフリズム
数えられないくらい、晴喜は途中だろうが完成しようが人形を壊した。
それも、計算を狂わせた。
しかし、困り果てた樋口に、男は晴喜の人形をコンクールに出してはどうかと提案した。
そこでの審査結果を踏まえた上で、値段を付けて欲しいと言い出したのだ。
芸術作品とは、認める人間がいて初めて価値の出るもので、
人の目に触れなければその芸術は死んでしまうのだそうだ。
彼の熱弁を聞いた樋口は、なるほど、と思った。
そして言われた通りに、晴喜の身元を隠した上で、人形をコンクールに出してみた。
丁度規模の大きな創作人形のコンクールで、
審査員にはその世界で地位のある人間が、何人も名を連ねているとの事だった。
(ま、ある程度はいくだろう……)
それは、誤算だった。