カラカラライフリズム
誰も名乗り出なかった。
仮に晴喜でない者が名乗り出たとしても、
到底同じ人形など作れない。
それほどまでに晴喜の人形は新しく、素晴らしかった。
すぐに情報を嗅ぎ付けた人間達が、写真集やポスターを依頼したが、
晴喜は樋口を通して徹底的に断った。
映画の撮影に使いたいと言われても、一切人形を貸そうとしなかった。
まさか、辻褄合わせとして借りた賃貸の安マンションの一室が、
こんなカモフラージュに役立つとは思わなかった。
だが何故かその辺りから、晴喜の癇癪は以前に増して、一層酷くなった。