カラカラライフリズム
「出てって、出てってよ!もう来るなぁーっ!!」

二人が途方に暮れて顔を見合わせていると、
晴喜は人形のヘッドをぶん投げた。

ヘッドはガツンと壁にぶつかり、
修復不可能なヒビを顔中に走らせた。

二人が出て行った後、下の階の光の話によると、
晴喜はその後しばらく泣き続けてから、
人形作りの作業を再開したらしかったが、様子を察する限り、
壊した人形を片付ける気は無かったようだった。


結局、頃合いを見た樋口が片づけに行き、
人形は無償で譲渡されることになった。

これ以上の面倒事に比べたら、安いものだった。

だが、彼は晴喜の人形を、映画撮影の為の借用だの、
雑誌への掲載だのを簡単に許可していたので、
熱狂的なファンは増える一方だった。
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