カラカラライフリズム



ふと、視線を上げて目に入ったもの。
 

木の板で塞がれたその窓には、覚えがあった。

自分はそのガラスに、頭を打ち付けられた事がある。
 

砕けるガラス。

頭に破片が刺さり、血が吹き出した。
 

ドアがひしゃげた部屋にも、覚えがあった。

その部屋は、自分が散々殴られた場所だ……。
 

ずんぐりとした、大きな黒い影。

笑いながら自分を殴り、時には蹴りも入れて来る。

そんな時、自分の小さな手では、抵抗などしようもなかった。


ただ泣いて、必死に赦しを乞った。



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