カラカラライフリズム
樋口が携帯電話を閉じ、
大欠伸をした。

「……やっぱそれクマだ。寝不足」

透かさず一樹が、樋口の目元を指差した。

樋口の眼は眠そうにとろんとしていて、
くっきりと薄暗いクマが出来ている。


「ちょっと情報管理部で問題起こってな…
…あんまし寝てねぇ」

「何?失敗でもやらかしたの?」

「違ぇよ。
……誰かに、ハッキングされたんだ」

「あ?」

樋口がふぎーっと低く息を吐き、
どかっと床に座り込んだ。
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