カラカラライフリズム
「珍しいじゃない。
あんた達二人が一緒にいるなんて」
吉野が、ボウルでバターを練りながら言った。
白い割烹着姿で、白い帽子に前髪も入れていたので、
一目では誰だかよく分からない。
でも、笑顔はいつもの彼女のものだった。
「そう?」
一樹は興味無さげに脚を組んだ。
「『そう』って……随分短い答えね。
っていうか、私にしてみれば、あんたがここにいるって事に驚きよ。
あれだけ『食』に無関心だった一樹が、
厨房に来るなんてね。
……どんな理由であれ、良い傾向だわ。
嬉しい」