カラカラライフリズム
悪の研究員
÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷÷
無精して、ローラーの付いた椅子に座ったまま、
散らかった室内を器用にがらがらと移動する白衣の男は、
進藤から受け取った紙の束に目を落として、「あー、めんど……」と声を漏らした。
「私の仕事増やすなよ」
「ふん、お互い様だろう」
「ていうか、これ……宮本ってガキさあ、寮に戻ってきたんだな。
確か、『CPG一人暮らし』の実験してたよな、こいつ」
男は、調書を指でぱちんと弾いた。
「『実験』か……そうだな。こいつならある程度平気だと踏んで、許可した」
「そん代わし、なーんも、得らんなかったけどな。
こいつ、信じられないくらい何もしなかったし。
仕事に連れ出される以外、寝るか、時々シャワー浴びるか、ホントにそんだけでさ。
ひっでーサンプルもあったもんだよ。
良い事も悪い事も、何もしねえでさ。
……まあ、結局は失敗だよねぇ、この実験。
うん、まあ『あちらさん』が喰いついてきたって事だけ、収穫なのかな」