カラカラライフリズム
吉野の幸せ
武装集団のテロ攻撃で生き残ったCPGを、この執行所に集めるという勅令が出たのは、
テロ攻撃によって負傷したCPG達が、回復してまだ間もない頃だった。
誰もが思った。
どうして、そんなに無茶な事をするのか。
もはや、この執行所は安全な場所ではない。
その混乱は、既に誰もが諦めるほどに極まっている。
表向きに静かなのは、誰もが口を閉ざしているからだった。
恐怖と緊張でぴんと張り詰めている。
そこは、何が起こってもおかしくない場所なのだ。
そして、何が起こっても公にならない場所でもあるのだ。
現に、研究員の一人が何者かに毒殺され、その同僚が消息を絶った事も、
担当官だった男が発狂した後に食を断ち、衰弱しきった末に胃瘻造設手術が行われた事も、
彼がある日その瘻孔を指で破ってひっそりと自殺していた事も、知る者はほんの一握りである。