カラカラライフリズム



気が付いたら、彼女はいつもCPGの事を考えるようになっていた。

どうしたら、みんなきちんと食事をしてくれるのか。


どういう献立が人気なのか。

もっと工夫しなければ……。



思考錯誤の時期を終えると、吉野の努力は徐々に実っていった。

CPGの中でも食堂に顔を出さないのは一樹や秀くらいで、その他のCPGはきちんと食事をしに来るのだ。

あれが食べたい。

こういう料理、今度作ってよ……。


CPGとはいえ、人殺しとはいえ、彼らの大半はある種の幼児性を残していると、吉野は薄々感じていた。


人間にとって、食べ物と愛情は、イコールで結ばれるものだ。

現に、赤ん坊は母親から乳を愛として受け取る。

誰もが、それを本能的に知っている。

だから俗に言う『食べ物の恨み』は、単純に愛が裏切られただけなんだと、吉野は分析している。


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