カラカラライフリズム



相手に突かれる隙さえ作らなければ、攻撃される事もないのだ。

だから、率先して規則を破る光が未だに理解出来ない。
 

だが、吟子についてはすこし分かった。
 

彼女のこの態度は、きっと彼女にとって直したくない、大切なものなのだろう。
 

その大切な何か、を守るために彼女は戦い、勝ったのだ。
 

単純に、それが羨ましいと思った。


「だーかーら! 二人分くらい何とかなんねーのか、って話なんだよ! 


発注してない? 在庫見てみろってんだよ!」
 

樋口は、だいぶ吉野と揉めているようだった。



彼のただならぬ様子に、野次馬が一人二人と現れ始めた頃、一樹が提案した。



「……いい加減、逃げるか」


「ああ」


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