カラカラライフリズム
開発されたばかりの『機械』は、まだまだ不具合も多く、また被験者にも適性があるとの事だった。
――『失敗作』。
この世の苦しみから解放されたように微笑む彼は、国からそう判断された。
そして、情報が漏えいする事を怖れた当局は、
『失敗作』達を外部の精神障害者施設に収容する事を選ばずに、内々に『処分』を決定したのだった。
樋口が銃口を向けた時、一樹は窓の外を見て笑った。
それまで、一言も喋らなかった彼は、
「……今日は空、綺麗だね」
ぽつりと、言った。
言われてはじめて、樋口は今日は久し振りに晴れたな、ということに気付いた。
一樹はそれきり、黙って目を閉じてしまった。