カラカラライフリズム



狂いかけなりに、理解していたのだろうか。
 

狂いかけなりに、覚悟していたのだろうか。
 

建設されたばかりの執行所で行われていたのは――『失敗作』の処刑だった……。
 

だが、樋口は引き金を引けなかった。
 

――あの時、樋口は確かに、一樹を殺すつもりでいた。
 

しかし、一樹の言葉を聞いて――あどけない一言で、何気ない一言で、



この少年を殺す事は出来ないと、銃を下ろした。



(……いいのかよ、これで)
 

優しいCPGなんて、生きていても苦労するだけだ。
 

いっそ死んだ方がいい。
 


――だけど!



(……出来ない……)
 



そして、一樹の事は責任を持つからと……彼を殺したくないと、上層部に掛け合った。


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