カラカラライフリズム
幸枝は一樹に横になるように促して、
紙袋から氷水の入ったビニール袋を出して彼の額に当てた。

氷の冷たさが、直に伝わって来る。


効果があるかどうかは別として、

何となく心地良かった。

その時、幸枝が口を開いた。

「……一樹さん。
本当に何も覚えてないんですか?」

「あ?」

唐突だったので、一瞬答えに遅れた。
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