カラカラライフリズム
……一樹は、樋口が自分を殺しに来た事を、覚えていないのかもしれない。
数年前――こんな事もあった。
その頃の一樹には、今以上に生存本能というべきものが欠如していたようで、
彼は管理しなければろくに食事も摂らず、眠りもせず、
あるいは起こすまで数日間眠り通しているような有り様だった。
だが、それ以外の一樹の素行に、特に目立った事は無かった。
だから、誰も気付かなかった。
日頃、大人しく過ごしている人間ほど、その変化は見逃されやすい。
CPGは、訓練や手入れ等の目的で、各々が得意とする『得物』――
つまり日常的に武器の所持が認められている。
そして一樹はいつも、眠る前に弾丸を抜いていた。
それは、ズボラが多いCPGにしてはとても珍しいことだった。