夢花
「おい、ボーっとしてんじゃねーぞ。」



上司の本宮さんが、俺の頭をペンでこづく。



「あ、ああ…すいません。」



会議が終わり煙草をふかしていた俺に本宮さんからの喝が入った。



「どうしたんだ?最近。
会議中もボーっとして話もうわの空だし…。」



「はぁ。」



「あ、わかった。お前、好きな女でもできたろ?」



「え?!」



本宮さんの言葉に動揺した俺は、持っていた煙草を足に落とした。



「あっっっっつ!!」



「お、図星か。」



本宮さんはうれしそうな顔をした。



「何かあったら、俺に相談しろよな。仕事にまで影響が出るようじゃかなわんからな。」



「は、はい。すいません。」



確かに最近の俺はどこか脱け殻のようになっていた。



こんな気持ちを味わうのは久しぶりだ。



「よし。」



その晩、俺は意を決して本宮さんに話してみることにした。
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