夢花
「私、亜由美です。手塚亜由美。」



「お、俺は、長島稔。」



なんか、中学生のカップルみたいだ。



「突然なんだけどさ、俺、ずっと気になってたんだよね。きみのこと。」



「え?」



亜由美は驚いたように目を丸くする。



「いきなり付き合ってくれとは言えないけど、友達になってくれないかな?」



断られるのは承知の上だ。でも、俺はこれを伝えるためにここにいるんだ。



亜由美は少し困った顔をした。



そして、予想どおりの答えを言った。



「あの…私、子供がいるんです。だから、お友達以上にはなれません。」



俺は思わず自分に笑ってしまった。



「そっか…。ごめんね。困らせてごめん。お子さんは大きいの?」



彼女は俺の笑顔が不思議だったのか、眉間にしわを寄せて言った。



「ええ。子供は…たぶん幼稚園と小学5年生です。」



「そう。…ん?」



彼女は今なんて言った?



「たぶん?」


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