夢花
空気を察したように、公園の噴水が、ぴたりと止まった。



俺と亜由美の間に静けさが走る。



「どういうこと?」



俺は尋ねる。



彼女は首を傾げて少し悩むようにしてから覚悟を決めたように言った。



「朝、起きたら、家の中にいたんです。男の子が2人。そして私のことをママと呼ぶんです。」



彼女の言っている意味が俺にはわからなかった。



「もちろん私には何の身に覚えもありません。周りから見ても不思議にも思うでしょう。でも、あの子達は私の子なんです…。」



「なぜ?そう言い切れるの?」



「それは…わからない。でも強く…強くそう思うんです。」



彼女の言っていることはめちゃくちゃだった。



いきなり2人の子供が現われ、その子等を何の疑いもなく育てるなんて…。



ただ、確かなことは、彼女自身はかなり正気だし、真面目だということだ。




「ごめん。俺には理解できない。見知らぬ子ならまず警察に届けるべきだ。」



俺が言うと、彼女は目に涙をいっぱいためて言った。



「いやです。離れたくない。」
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