夢花
2人は俺にゆっくりと目を向ける。



背筋がぞっとした。



「このおじちゃん、邪魔だよね。食べちゃおうか。」



子供達は相談するように顔を見合わせ、俺を指さす。



「待って!この人は何も悪くないわ!悪いのは私だけ。」



亜由美が言う。



「私、どんなつぐないでも受けるわ。だから、この人は許してあげて。」



「つぐない?何それ?」



兄は首をかしげる。



「じゃあさ、ママのこと食べていい?」



弟が不気味な笑みを浮かべながら言う。



「お、おい、ちょっと待て!ママだって反省してるじゃないか。確かに堕胎したのはなによりも悪い。でもずっとそれを引きずって生きているんだ。」



俺は慌てて言った。



「なんで、おじちゃんにそんなこと分かるの?」



まったく表情のない顔で兄が聞く。



「だから…」



俺は亜由美を見つめ、それから兄弟を見つめた。



「だからキミ達がここにいられるんじゃないのか?彼女の強い思いがキミ達をここに呼んだんだろ。彼女はキミ達を間違いなく私の子だと言ったんだぞ。」



兄弟達は顔を見合わせた。

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