夢花
「キミ達のために死ぬより、キミ達を思って生きる方がよっぽどつらいんだ。もう、許してやってくれないか…。」



俺は彼らに深々と頭を下げた。



「長島さん…。」



彼女はあふれる涙を止めることなく俺を見上げた。ぐちゃぐちゃな顔だった。



「どうする?」



子供達がひそひそと話し始める。
俺はそれ以上何も言わず黙っていた。



「わかった。じゃあ食べるの止める。その代わり…」


2人は亜由美を見つめた。



「僕達のこと忘れないで。本当はこうしてママと一緒にいたかったんだ。」



亜由美は震える手で2人をギュッと抱きしめた。



「ええ。もちろんよ。忘れないわ。ごめんね。ごめんね。」



すると、彼女の腕の中で彼らはにっこりと笑い合った。


< 29 / 42 >

この作品をシェア

pagetop