夢花
「お前明日学校終わってから暇?」



電話に出るなり悟志は言った。



「う、うん。別に用はないけど。」



「じゃあさ、試験勉強しに市の図書館に行かないか?」



「え?!正気か?!ずいぶんめずらしいこと言うな。」



僕が目を丸くすると、



「いや、裕司が行こうって言うからさ〜。」



と悟志は言う。



「え?!裕司が?」



僕の心臓が跳ね上がる。



裕司は…生きているのか?



「とにかく、明日、空けとけよ!」 



悟志はそう言って電話を切った。






やはり、僕の勘違いだったのだ。



裕司は死んでなんかいない。



僕は裕司を殺してなんかいなかったんだ。



ああ。よかった。



僕の緊張が一気に解けた。
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