夢花
「また1人、遭難された方がいらっしゃいました。」



リビングに戻ったオーナーがそう言った。



「オーナー、食事ができました。」



よく見ると奥のキッチンには他にもう1人男性がいた。





「いただきます。」



私たちはワインやビール、ジュースなど銘々に好きなお酒を飲みながら、今日初めて会った見知らぬ5人のメンバーで食事をすることとなった。



「あいさつが遅れましたが、私がこのロッジのオーナーです。」



オーナーは、私達に自己紹介がてらあいさつをした。



「本当に今日はありがとうございました。」



私は改めてお礼を言った。



「いえ。よくあるんです。この森では。」



「確かに。だって今日だけでも4人も迷った人間がいるものね。でも、こんな森の奥にこんなに大きなロッジがあるなんてね〜。ほんと、助かっちゃった。ありがとね。」



初対面のはずだが、若さか育ちか、かなりフランクに女性は言った。



「俺も助かったよ。翔って言います。よろしく。」



私の後にやってきたひときわ若い彼はかなり空腹だったらしく、必死にチキンを頬張りながらそう言った。

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