君のキオク、僕のキオク
「んーとこのクラスは・・・」

佐伯がニコニコと笑った。オレの近くで女子に囲まれて。

「んーーおまえ名字なんだっけ?」

「忘れんなよー谷ちゃんじゃないか!」

あーそうそうと佐伯が笑う。


ちょっとフリーになった佐伯に声を掛ける。

「目え醒ましてよかった」

「んーーと」

佐伯は首をかしげた。瞳には悲しそうな光が宿った。

「誰だっけ?ごめん。わかんないや」


頭から冷水を浴びせられた感覚に陥った。

心臓がキューと縮んだ。嘘だと思った。思いたかった。

「ごめんね・・・顔も覚えてないかも。名前教えて?」

「うそっ楓覚えてないの!?神谷琉矢だよ!」

横から口を出した佐伯の友達の宇都宮が驚いている。

「え・・・そんなんに重要な人?」

「あったりまえじゃん。事故の時一緒にいたでしょ?」

「ええっ・・・・!所々記憶飛んでるけど・・・。この人ことなんにもわからない」

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