君のキオク、僕のキオク
午後の授業。

おなかいっぱいで眠くて。

窓の外を眺めると、秋晴れの空の下佐伯のクラスの女子が体育の授業中だった。

佐伯のはまだ右手にギプスをしたままだけど、軽快にハードルと飛び越えている。

ショートカットの髪が頭の上でピコピコと跳ねる。

「おーい、おいコラ神谷!いないのか!?」

理科のハゲがどこからか叫んでいる。

「いませーん」

後ろの席の田山が調子に乗って叫ぶ。

「帰りましたー」

オレも便乗して叫ぶ。

「じゃあ今叫んだのは誰だぁ!?」

「オレでーす」

クラスが爆笑する。この空気。嫌いじゃない。

佐伯とも昔は、こんな空気だったな。
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