君のキオク、僕のキオク
退屈な理科の時間も終わり、帰りのHRのあとさっさと教室を出る。

くつ箱からスニーカーを引っ張りだすと、紙切れが転がった。

屈んで手に取り開くと、淡い水色の紙に桃色のペンで『聞いてほしいことがあります。放課後体育館の裏に来てください。大島みちる』とあった。

クラスで一番スタイルがいい人気者の子だ。

やっぱり、告白といったらこのベタなパターンが主流なのだろうか。いや、まだ告白と
決まっては無いけど。

仕方無いので体育館裏に行く。

ボロッちい体育館を通って裏に回ると、既に大島がいた。こいつ、このあいだ田山に告らなかったか?

「ねぇ神谷」

オレより5cmくらい背の低い大島が上目遣いに見てくる。大島はバレー部エースで運動神経はいい。顔は、みなかわいいと言うけどオレは好きじゃない。

確か・・・既に何人と付き合って別れてたよね?

「好きなの。あたしと、付き合ってくれないかな?」

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