君のキオク、僕のキオク
ああ・・・こういう女はフラれることを恐れない。いくらでも告白できるから。

田山は「佐伯が好きだから」とフッたらしい。大島はそれを相当『屈辱』と受け止めたんじゃないだろうか。

佐伯はたまーにそういう話も聞くが(田山とか)あまりモテると言う噂はない。

「あーごめん。あんまそういうの興味ないんだよね。悪い」

大島は想定外な顔をした。大きな目を更に大きく見開いて。

「それって・・・もしかして楓?」

「ん?それは関係ないよ」

「でも・・・神谷は・・・楓が事故にあった時一緒にいたんでしょ」

「ああ・・・いたよ。でも別に・・・」

「神谷が責任感じることないよ!」

オレはハッとした。責任?

確かに、楓を助けられなかったと思う。普段はオレが車道側を歩いていたのに。

父親に「男たるもの、常に紳士であるべし」と教えられて育った。ちなみに父はただの魚の卸売り業者で、特に紳士を語るような育ちでもない。

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