君のキオク、僕のキオク
「何から逃げるの?」

「お化け♪本モノとかね♪」

事の他楽しんでいるのか・・・。

「本モノって・・・・えー」

ぶら下がった生首をヒョイと避けながら進んでいく。ああ、ココから先は危ないな・・・。

「うわぁぁぁぁぁぁぁあああ」

かわいそうに・・・・。見ちゃったよ。今回の傑作。オレは目を背けた。佐伯はばっちり直視したまま固まって、目を白黒させている。

「人体・・・!?内臓・・・!?・・・・!!」

『テケテケ』と呼ばれる妖怪の人形。リアルすぎて直視できない。上半身は人間、下半身は無い。いや、ある。こんなもの、教育上よろしく無さ過ぎる。訴えられるんじゃないのか?


内臓垂れ下がり状態。


「よく出来きすぎ!・・・こわっ・・・動きそうだし・・・・」

佐伯は、あたりを見回した。意外と冷静だな。「あんまり恐怖が大きいと、分けわかんなくなるね」と周りを見回した。なにかが麻痺したような話し方で。

「人がいない・・・・」

「雰囲気出すために、こういうところには人がいないらしい・・・」

変な匂いする、と佐伯が鼻をつまんだ。確かにリアルな匂いするけど・・・。何かが腐った匂い。腐乱臭。ここまでリアルな匂いだと・・・・。

「なにこの匂い・・・!」

本気で気分悪くなってきた・・・・・。

< 38 / 45 >

この作品をシェア

pagetop