君のキオク、僕のキオク
オレは昔から『内臓』にかかわるものはダメだ。モツとか砂肝とかも食べられない。

今年の目玉は『リアルテケテケ』だったか・・・・。しくじった。

「早く進もう・・・」

「顔色悪いけど大丈夫かい?」

やっぱり勘が鋭い。昔から人を良く見てる。だけど、よくわかったな・・・。

「ちょっとこの匂い・・・ダメかも」

じゃあちゃっちゃか行きましょう、と佐伯が手を引いて歩いていく。

もうトラウマというかなんと言うか・・・・これはダメだ。小さい頃、人体模型と一緒にトイレに閉じ込められて気絶した過去がある。なんであそこに人体模型があったのかは覚えてない。

「もう終わりかな?」

いや・・・商店街のおっちゃんがこれくらいで終らせる気はしない。なんかあるだろ。

暗いまっすぐな道を歩いていくと、突然大きな物体が飛び出してきた。


蜘蛛。


「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああ!!!」

そうか、やっぱり女子は虫系はダメか。佐伯は卒倒しそうなくらい震えたまま固まっている。口がパクパクと動いている。

でっかい蜘蛛の人形が上から垂れ下がっている。オレの背丈と同じぐらいの。これも相当リアル。しかも動く。

「蜘蛛・・・蜘蛛・・・・」

蜘蛛の人形を手で避けて佐伯に通るよう促す。まだあの腐った匂いがしてる。その上蜘蛛とか、気分は悪くなる一方。

佐伯は目線を泳がせながら通るとオレの手を取って出口に逃げるように向かった。
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