君のキオク、僕のキオク
佐伯の手がゆっくりと動いた。

もうほとんどなにも分からないみたいだ。

柔らかく白い手がオレの手に重なった。

その手が小刻みに痙攣した。

オレはなにか言おうとした。けど、なにも言えなかった。

パニックに陥りそうなのを必死で抑える。

まわりが騒がしくなって来た。遠くから救急車のサイレンも聞える。

「・・・ごめ・・・琉・・・・・う・・・き」

瞳がゆっくりと閉じた。






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