君のキオク、僕のキオク
佐伯とは小学校から同級生だ。

小学校当時は喧嘩相手。

中学に入ってからは、ちょっとした友達で先輩。

普段は結構ポーカーフェイスだったけど、オレといると楽しそうに笑ってた。

オレの思い込みでなければ、だけど。

佐伯は多分、オレのこと嫌いじゃなかったと思う。

オレも、結構仲のいい友達だと思っている。

おもしろいし、話も合う。

ランプが消えた。

オレは弾かれるように立ち上がった。

重い扉が開く。中から緑っぽいビニールの服を着た人が手袋を外しながら出てきた。

「君は・・・・?」

「えっと・・・友人です」

「ああ、保護者と連絡がつかないんだったか」

「あの・・・・佐伯は」

「一命は取り止めた。しかし-----」

医師は言葉を切った。オレの心臓がドクンと跳ねた。

「意識が戻るかどうか・・・・戻っても、後遺症が残るだろう」
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