君のキオク、僕のキオク
佐伯が入院してから一週間。

担任から、次の日のHMで「隣のクラスの佐伯さんが事故にあった」と連絡があってから一週間。

佐伯が瞳を閉じてから一週間。


未だ意識は戻らず、オレはほぼ毎日見舞いに行く。

佐伯のばあちゃんがたまに病室でうたた寝している以外はいつも、佐伯の心拍音を示す機械音だけが響いている。

佐伯の瞳は開かない。ずっと。

オレの親は、「あんたのやりたいようにしなさい」と言う。

オレはどうしたらいいんだろう。

「佐伯はまだ・・・」

ああ、と軽く相槌を打つ。去年、佐伯と同じクラスだった田山勇人が隣でうつむく。

「もう一週間以上・・・・」

もう二度と目を醒まさないかもしれない。

そうは言えなかった。

今日も、行こう。

たとえ目を醒まさなくても。

田山勇人がメガネを取って乱暴に拭いた。

こいつ、やっぱり佐伯に惚れてんな。昔っから有名な噂だ。
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