伸ばした手の先 指の先
「先輩、ちょっと待っててもらっていいですか?!」
「いいよぉ」
急いで、でも丁寧にカッターで封を破り、便箋を入れて改めて封をする。
「お願いします!」
「了解。うまくいくといいね!」
先輩を見送ってから教室に戻り、読書する。
頭の中がぐるぐるしてて熱くて、文字が読めない。
「琴音ちゃんっ!!」
教室の出入り口をはじかれたように見る。
息をきらした双葉先輩が立っていた。
「ごめんっ!!」
「え?」
「柚季に渡したら、あいつが読む前に他のやつらが手紙奪って、2年棟でまわし読みされてるの!」
ふらふらとしゃがみこむ。
「ごめんね!琴音ちゃん、ごめんね!」
「いえ……あたしは大丈夫です……ちゃんと伝われば……それでいいですから……」
「渡辺琴音ってお前?!」
「まあまあじゃね?!」
突如、見知らぬ男の先輩が二人やって来た。
「小森、柚季に告った女ってこいつ?!」
「うるっさい!!あっち行けっ!!」
双葉先輩が追い払ってくれた。
どうなったんだろう、あたしの手紙……。
無事に読んでもらえればいいんだけど。