伸ばした手の先 指の先

 テスト週間で部活がないことが幸いした。

 紘と帰っていると、大辻先輩が後ろから声をかけてきた。

「今日は塾だから、先帰るわ」

 気を利かせて言ってくれた友達に感謝する。

「大辻先輩」

 サブバッグを持つ左手に、力を込める。

「付き合いますか、付き合いませんか」

 選ぶのはあなたです。

 まっすぐにその整った顔を見上げる。

 

「付き合おう」

 

 呼吸さえ忘れるほど、まっすぐな声だった。

 

「はい」

 もう、迷わない。

 あたしは確り頷いた。
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