伸ばした手の先 指の先
「と、いうわけなんです」
柚季先輩に、「2年の大辻と1年の渡辺は付き合っていて、一緒に帰っている」という噂が保護者にまで伝わっているという話をした。
「近いうちに事情聴取されるかもしれないね」
「……」
「大丈夫だよ。付き合ってません、そんなのただの噂ですって言えばいいんだから」
「……」
先輩はあたしの頭にそっと手を置いた。
「何とかなるよ」
本当に? なんて聞いても無駄なことは知っている。
未来に保証なんかない。
それはよく知っている。