自転車の彼
私達の距離って遠いようで案外近いのかもしれない。




手を伸ばせば、届く位置に桜見はいつもいる。





ただ、私にはその勇気がない。




「かの子、今日帰り暇?」

「きっとね」


「なら、うち来いよ」

曖昧な返事をして私は煙草を出す。
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