書籍化されない作品
各々の考え方
(一)
「あー、マジでイラつくっ。聞いてくれよ、泉美(いずみ)」
「はいはい、なになに」
午後三時の喫茶店は空いていた
ストロベリーパフェを食べる私の目の前、男は早々に愚痴をこぼし始める
他人の愚痴など聞きたくもないが、まあ、パフェ代だと考えれば安いかと聞き手に回った
友人たる彼は時折こうして私を誘う
今日もまた然りかと
「また、ケータイ小説の話かしら」
「ああ、そうだよ。ほんとにさ、あいつらは俺の実力を分かっちゃいねえ。
だいたい、おかしいんだよ。この世界は。どうして俺じゃなく、こっちなんだか」
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