書籍化されない作品


(二)


「へえ、君の友人も書いているんだ」


先ほどのことを彼に話せば、楽しそう聞いてくれた


モノトーンの知的な部屋は彼の内面を表してくれているのだが、ああ、やはり彼は眼鏡が似合うなぁと思ってしまう


私の淹れたコーヒーを美味しそうに飲んで、曇った眼鏡を拭いたりするのが可愛い


「筆名は何?」


「え、と……。オヤシロだったかな」


「ああ、見たことあるな。作品は読んだことないけど」


そうかそうかと頷く彼もケータイ小説を書いていた


そして同時に


「あなたはどうだったの、大賞」


「俺もダメだったよ。一次選考に登りもしなかった」


素直に告白する彼はさっきの男とまったく反応が違う


不思議そうに私が彼を見れば、何?と聞かれた


< 4 / 17 >

この作品をシェア

pagetop