書籍化されない作品
(二)
「へえ、君の友人も書いているんだ」
先ほどのことを彼に話せば、楽しそう聞いてくれた
モノトーンの知的な部屋は彼の内面を表してくれているのだが、ああ、やはり彼は眼鏡が似合うなぁと思ってしまう
私の淹れたコーヒーを美味しそうに飲んで、曇った眼鏡を拭いたりするのが可愛い
「筆名は何?」
「え、と……。オヤシロだったかな」
「ああ、見たことあるな。作品は読んだことないけど」
そうかそうかと頷く彼もケータイ小説を書いていた
そして同時に
「あなたはどうだったの、大賞」
「俺もダメだったよ。一次選考に登りもしなかった」
素直に告白する彼はさっきの男とまったく反応が違う
不思議そうに私が彼を見れば、何?と聞かれた