書籍化されない作品

｢あなたは愚痴とか言わないのね｣


｢愚痴？何にかな｣


｢何って……。私の友達みたく、どうして選ばれなかったんだーって、選考員とかに｣


｢俺の作品が選ばれなかったのは選考員のせいじゃないよ。ただ単に俺の技術不足｣


｢……、こう言ってはなんだけど。大賞作品よりもよっぽどあなたの方が“小説”らしかったわ｣


文才、文章力、描写

全てにおいて、彼はプロレベルだった


あの男と同じ意見なのはいただけないが、私としても彼のような作品こそが選ばれるべきだと思っていた


｢あなたが落ちたのは、あなたの技術不足からじゃない。ケータイ小説っていうジャンルは、小説らしくない小説を選ぶと思うの｣


｢小説らしくない小説、ねぇ。俺としては、大賞に残った作品はどれもが魅力的で尊敬するものばかりだったけど｣