悪魔と時間
「理解できたか?」


説明書を読んで放心状態の私に、悪魔と名乗る彼はため息交じりにそう言う。


「・・・悪魔ってあなたのこと?」


信じる気はなかったが、一応聞いてみる。


「あぁ、さっきからそう言ってるだろ?」


「・・・・・・信じない。帰って」


「はぁ?さっき、帰れないって言っただろ」


「そんなこと聞いてない」


自分が説明書を読まなかったことを棚に上げ責めるように言う。


私にとって悪魔は漫画やテレビの世界だ。


簡単には信じることはできない。


悪魔と名乗った男が本から出てきたように見えたのはきっと私の見間違え。


そう、自分に言い聞かせる。


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