悪魔と時間
「力を見せてよ。」


私は気を取り直して言う。


人にできないことが出来れば、人ではないということを信じないわけにはいかない。


人ではないのであれば、神様だろうと悪魔だろうと関係ない。


彼ができないということを信じて疑わない私は、そう切り出した。


もし、何もできないのなら今度こそ彼を警察に突き出せばいい。


「力?」


悪魔と名乗る男は、眉をひそめて繰り返す。


「そう、悪魔の力。例えば、空を飛ぶとか」


できるわけないと思っているから無理を承知で言う。
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