悪魔と時間
私はぶつかるのを覚悟して目をつぶる。


あれ、痛くない。


苦しまずに死ねたのがせめてもの救いだ。


そんな事を考えていると一番聞きたくない声がした。


「ビビった?」


おもしろそうに笑う悪魔に怒りが込み上げる。


「・・・当然でしょ。離して」


目を開け地面と顔の近さに怯みながらも、怒鳴る。


「暴れるとまた落とすぞ」


私を静かにさせ、ゆっくりと立たせてくれる。
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