悪魔と時間
「ただいま」


2人の会話をさく声がする。


「お帰り」


ドアを開けそれだけ言うと、悪魔に絶対に部屋から出ないように指示して慌てて階段を下りる。


「どうしたの?そんなに慌て」


様子がいつもと違う事を察し、弟の正樹はキョトンとした顔で尋ねる。


「そんな事ないよ。それより、テストどうだった?」


昨日「テストだから、勉強を教えて」と言われたことを思い出す。


「へへへ」


そう言ってランドセルから一枚の紙を取り出せば、何点だったのかは明白だ。


「さすが、私の弟」


予想どおり100とかかれた答案用紙を受け取ると頭をなでて誉める。
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