悪魔と時間
「そんなに睨むなって、今返すから」


そう言うと悪魔の手からケーキが消える。


「わぁ」


正樹が再び声を出したことで、ケーキが戻った事を悟る。


「・・・はぁ」


ほっとして崩れるようにしゃがみ込んでしまった。


「何だっと思った?」


悪魔は未来を覗き込んで面白そうに言う。


「もちろん、お前の想像したことも実行できるぞ」


答えない私の代わりに悪魔は口を開く。


このとき、彼が危険な存在なのだと悟った。
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