悪魔と時間
適当な理由を作り、正樹の宿題を切り上げると、急いで部屋に戻る。


未来の心配とは裏腹に悪魔は大人しく座っていた。


「遅い」


悪魔は口ではそう言いながらも大して気にしていない様子に見えた。


「ごめん、ごめん」


口先だけ謝ると、ペンを取り出し本を開く。


「ここにサインすればいいのね?」


ペンを滑らせようとする私を静止させ、悪魔はナイフを渡す。
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