悪魔と時間
「・・・彼、誰?」


「いとこの圭一。今、事情があってうちにいるんだ」


肩をすくめて見せる。


完全に悪魔に見ようされている千夏はそれ以上聞いては来ない。


「ちょっとね」


今日は悪魔の案内をする事を条件に正樹がかわってくれた。


「なんか意味深…まぁ、そんな事より今日、うちのクラスに転校生来るらしいよ」


意味深と言いながらそんな事といって片付けてくれる千夏に感謝して相槌をうつ。


この時期に転校生とは珍しい。


間違えなく悪魔…もとい圭一だろう。
「かっこいいといいなぁ」


とはしゃぐ千夏にいとこだと、昨日聞かされた設定を話す。


あまりに平凡すぎる日常に飽き飽きしていたのは私だけではない。


転校生と言う非日常は、つかの間とはいえワクワクさせる。


私も千夏と同じ立場なら間違えなく一緒にはしゃいでいた。


「かっこいい?」


千夏の興味が圭一の容姿にむかったことに溜め息をつきながら答える。


「悪くないよ」


初めてあった時は見とれてしまったくらいだ。
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