悪魔と時間
「斎藤君って、イギリスに留学してたって本当?」


「留学っていうか、親の仕事でね」


午前の授業が終わり昼休みに入ると圭一の周りに人垣ができた。


当然、女の子ばかり。


いとこを理由に隣の席にした担任を恨まずにはいられない。


それとも、悪魔の差し金だろうか。


購買から戻ると当然のように席を占拠されていた。


隣から斜め後ろに移動した千夏の席も例外ではなく2人でため息をつく。


「千夏も仲間に入れば……?」


からかうように言うと、千夏はいじけて教室を後にする。
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