G R E E N
あぁ、神様、一瞬でも感謝した私がバカだったよ。
こんなイタズラいらない。
ぶつかった相手は紛れも無い、今もっとも会いたくない人物。
高柳美穂ちゃん、ヒロの彼女その人だった。
お互い気まずく目を反らす。
凍り付く空気。
あぁ、もう誰か助けて。
「あっ蒼!教室入ろう!美穂ちゃんも同じクラスなんだね!」
真紀が助けてくれて、その場は何とか乗り切る。
『はぁーもうありえないよー。これから毎日見せつけられんのかなぁ?』
「蒼!知らんぷり、知らんぷり!気にしないのが1番だよ!」
でもね。真紀。
知ってるよ、真紀が1番気にしてくれてるって。
わたしの視界に美穂ちゃんが入らないように、わたしの横に座ってくれてるよね?
そんな真紀の優しさに涙しそうになりながら、
『………真紀、ありがとう』
わたしはそれしか言えなかった。
真紀が黙って抱きしめていてくれたから。
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