G R E E N




顔をあげると背の高い男の子

この子知ってる。
ヒロと同じサッカー部のミヤって呼ばれてる宮下くんだ。

初めて喋るやー

見た目ちょっと恐いんだよね。
いつもヒロといたけど、何か近寄りがたくて話したことはないんだ。
女の子と話してるとこなんて、あんま見たことないし。




『ちょっと、ボーッとしてないで。こんなとこで何してんの?』


やばっ、考えごとしちゃてた


「あっ、大丈夫だよ。なんか新しいクラスにまだ緊張しちゃってさ。」


まさか美穂ちゃんがいるからなんて、言えない。

しかしミヤ君はちょっと4組を見て、私のほうを見た。

『…そーいうことか。あんま気にすんなよ。俺らサッカー部もあいつは好きじゃないんだ。みんな部長のこと応援してっからさ。』

「えっ…………?」

『高柳美穂いるからでしょ?』

「あっ、あぁ、まぁ………」


まさかバレバレなんて思わなかった。この人、実はいろんなことちゃんと見えてるんだな。私の気持ちだってわかってくれてるんだ。


『まっ修羅場ってのも、俺的にはかなり面白いけどね』

そう言ってイタズラっぽく笑った。
からかわれてるのに、その笑顔はとても優しくて、わたしはビックリしたんだ。






.
< 15 / 255 >

この作品をシェア

pagetop