G R E E N
顔をあげると背の高い男の子
この子知ってる。
ヒロと同じサッカー部のミヤって呼ばれてる宮下くんだ。
初めて喋るやー
見た目ちょっと恐いんだよね。
いつもヒロといたけど、何か近寄りがたくて話したことはないんだ。
女の子と話してるとこなんて、あんま見たことないし。
『ちょっと、ボーッとしてないで。こんなとこで何してんの?』
やばっ、考えごとしちゃてた
「あっ、大丈夫だよ。なんか新しいクラスにまだ緊張しちゃってさ。」
まさか美穂ちゃんがいるからなんて、言えない。
しかしミヤ君はちょっと4組を見て、私のほうを見た。
『…そーいうことか。あんま気にすんなよ。俺らサッカー部もあいつは好きじゃないんだ。みんな部長のこと応援してっからさ。』
「えっ…………?」
『高柳美穂いるからでしょ?』
「あっ、あぁ、まぁ………」
まさかバレバレなんて思わなかった。この人、実はいろんなことちゃんと見えてるんだな。私の気持ちだってわかってくれてるんだ。
『まっ修羅場ってのも、俺的にはかなり面白いけどね』
そう言ってイタズラっぽく笑った。
からかわれてるのに、その笑顔はとても優しくて、わたしはビックリしたんだ。
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