G R E E N


それからは、ミヤ君と帰ることはなくなった。

恐くなった私は自分から誘うことはしなくなったんだ。


…私から誘わなくなったら、会うこともないのか。

前はいつもミヤ君から誘っていてくれたっというのに。


…前は… これがこの頃の私の口癖だった。

前は今と違った。

前は楽しかった。

前は信じられた。

前は…………





そんな気持ちで過ごしているうちに一ヶ月に過ぎて。

そんな気持ちで過ごした一ヶ月は不思議なほどに長く、重く感じた。



気が付けば街は赤と緑であふれて、イルミネーションがキラキラと輝き始める時期になっていた。


ミヤ君の包帯もギプスもとれた。


怪我は治って、それによってもたらされた二人の変化だけがそのままだった。




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