G R E E N



そんなある日、明奈が疲れた顔をしていた。

『明奈?なんか元気なくない?どしたん?』

「んー、ちょっとね。部活なんだけどさぁ…。」

『私でよかったら聞くよ?違う部活のひとのほうが話しやすいことだってあるでしょ?』

「ありがとう。…蒼に話すことじゃないのかもしれないけどさぁ………実は…」


明奈の話は美穂ちゃんのことだった。


バスケ部はとても仲がいい。
美穂ちゃんは確かに機嫌の上下が激しかったりするが、それをメンバー皆でカバーしてやっていた。
しかし今、大会が近づいていた。
大切な大会を控えて、メンバーもぎりぎりな中でついに美穂ちゃんに対する我慢が限界にきてしまったらしい。

それを感じとった美穂ちゃんは『辞める』と言い出した。

メンバーも限界が近いものの、そんな美穂ちゃんを引き止めた。
ここまで一緒にやってきたのだからと。


優しいな、と正直わたしは思ってしまった。

美穂ちゃんは機嫌が悪くなると挨拶しても無視したり、ヒロのところに行ったりと、その評判を明奈から聞いていたから。



そして、今日の放課後にバスケ部でミーティングをするらしい。
明奈は副部長だから、今から気が重いらしいのだ。



「そっかぁ。んじゃ、明奈は落ち着いてみんなの話聞かなきゃだね。一度はみんなで本音言い合ったほうがいいんじゃない?いつまでも美穂ちゃんの機嫌伺ってもしょうがないよ。辞めてほしくないのが本音なのはわかってるから、美穂ちゃんにも伝わるよ。そのうえで直してほしいところも言えば、きっと大丈夫。」

『そうだよね。やっぱ本音で言わなきゃ信頼関係は築けないよね。蒼、ありがとう。美穂の話なのに本当ありがとう。』





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